【徳島新聞】新加賀須野橋を活用 松茂広島地区の津波避難所に

徳島県の今切川の新加賀須野橋を松茂町広島地区の避難場所として活用することについてのニュースです。


新加賀須野橋を活用 松茂広島地区の津波避難所に – 徳島新聞社

 将来予想される大地震に備え、松茂町広島地区の自主防災会が、近くの今切川に架かる国道11号・新加賀須野橋を避難場所として活用しようと計画している。地区には高台や高いビルがないため、最も高い地点で地上17メートルの同橋に着目した。国や県によると、橋を被災時の避難場所と定めるケースは珍しい。

 新加賀須野橋は、約1600世帯が居住する同地区の最も遠い場所からでも徒歩20分ほどで到達できる。県の予測では同地区には地震発生後40分で津波の第1波が到達し、第2波以降も含めた最大浸水深は1、2メートルとされていることから、同地区の東、中、西の3自主防災会は「橋が避難場所として最適」と判断した。

 橋は1979年建設。阪神大震災を機に橋脚は耐震補強工事が施されており、同規模の地震でも耐えられる設計になっている。歩行者用の階段からも橋上に登ることのできる構造で、道路の両側にある幅2メートルの歩道なら大人数でも逃げ込める。

 町は、同地区住民の避難場所として町総合会館を指定しているが、地区の最も遠い場所からだと約1・5キロの距離がある。自主防災会が4年前に行った避難訓練では徒歩で40分かかった住民もおり「遠すぎて不安だ」という声が出ていた。

 2011年10月には役員4人が、橋を管理する国土交通省徳島河川国道事務所の徳島国道出張所を訪れ、避難場所として活用できるか相談。歩道部分なら申請や契約なしで使えることを確認した。

 3自主防災会は現在、橋への避難訓練を計画中。西自主防災会の大坪章夫会長(69)は「命を守るには少しでも早く高い場所へ逃げるのが大切。緊急時の選択肢として周知したい」と話す。

 国交省と県によると、国や県が管理する道路や高速道路を避難場所として活用したいという趣旨の問い合わせが住民から寄せられたケースとしては、新加賀須野橋のほか、美波町の日和佐道路と徳島市川内町に建設中の四国横断道がある。両道路では斜面などの活用が検討されている。